
ギャラリー
弁天レジデンス ー 修復の軌跡
登記によると、この二棟の町家は「築百年以上」と表記されており、わたしたちは、この建物をもともとの特徴をできる限り残したまま修築したいと考えました。それと同時に、現代的で快適な居住空間とするために、床暖房などの新しい技術を組み込む必要性も感じ、浅見建築設計室に相談しました。
相反するふたつの要件にも関わらず、浅見設計士と仲間の職人たちは、持ちうる限りの技術を使って、情熱的に弁天プロジェクトに取り組んでくれました。たとえば、ある管柱には、写真のように朽ちかけていた古い柱の使える部分を残し、補強のための新しい木材をはめ込んでいます。油がなじみ色が落ち着いてくれば、もとの柱と新しい木片が一体となるよう再現されています。このような柱のほとんどの部分は壁に隠れてお客様には見えないにもかかわらず、これは文化財の修復プロジェクトだからということで、職人たちは徹底的に真摯に向き合ってくれました。客室のいたるところで、職人の誇りやこだわりの技を感じていただだけましたら幸いです。

新しい木片で補強された管柱
写真:RICHARD TAN
弁天西棟にも、職人たちの情熱と技の結晶があります。修築には、建物全体の耐震また耐久性のために、階段部分に6メートルにもなる通し柱を補う必要が生じました。この新しい柱の搬入は、町家の間口の狭さだけではなく、細い路地に住宅が立ち並んでいる立地などの恵まれない条件のもと困難を極めましたが、プロジェクトチームの知恵と技術を集結した共同作業により成し遂げることができました。

構造強化ため新たに組み込まれた高さ6メートルある無垢の木の通し柱
写真:高野友実

写真:高野友実

弁天レジデンス:修築前
写真:浅見俊幸

弁天レジデンス:改修工事中
写真:高野友実

弁天レジデンス:修築完了後
写真:高野友実
小松レジデンス ー 再創造への道のり
京都最古の禅寺・建仁寺のかつての寺領であったとされる東山区小松町内の二区画に新しく建てられた宿が、小松レジデンスです。
近隣が開発されていく中、もとあった町家は無残にも取り壊され、更地となっていました。この土地とのめぐり合いが、現代にふさわしい京町家を再現するという、私たちの新しい挑戦のはじまりとなりました。
小松レジデンス一期目の小松サウスは、すでに弁天レジデンスの修築プロジェクトで信頼をよせていた浅見設計事務所による設計、辻工務店による施工にて竣工を迎えました。
伝統的な工法を使い、職人たちの丹念な手作業によって築かれた小松サウスは、風情ある昔ながらの京町家の外観を呈し、みなさまのお越しをお待ちしております。

地鎮祭(起工式)
写真:JANICE TAY

小松レジデンス建築模型
写真&制作: CLARA HANNAH GOH


骨組みと基礎工事-コンクリートの基礎造り
写真:浅見俊幸 & JANICE TAY

屋台骨に使われた木の梁
写真:市川靖史



屋台骨の組み立て
写真:浅見俊幸

梁の組み立て作業
写真:浅見俊幸

骨組みの完成
写真:市川靖史

職人技
写真:市川靖史



玄関より続く廊下(建設中)
写真:市川靖史

玄関より続く廊下(完成)
写真:LEE YONG CHYE


屋上(建設中)
写真:市川靖史

屋上(完成)
写真:LEE YONG CHYE


入り口から望む屋上 (建設中)
写真:JANICE TAY
玄関より続く廊下(完成)
写真:LEE YONG CHYE


小松サウス外観
写真:LEE YONG CHYE